スタッド溶接とは

スタッド溶接の歴史から工法まで丸っと全て解説いたします!

スタッド溶接の歴史

スタッド溶接は、いわゆるたて込みボルトを穴あけ、タップ立て等の工程を経ずに、アーク溶接などにより相手の母材に自動的に植え付ける方法であり、作業の性質上この方法を特に「溶殖法」と呼ぶこともあります。
現在では、ピンやボルトのほかに短冊などの種々の形状をした金属片も母材にそのまま溶接することができるようになりました。
この溶接方法が実際に使用されたのは、1918年(大正7年)イギリスのポーツマスの H.M造船所が最初であると言われています。
当初、まず軽量な溶接工具(先端にスタッドを挿入し、これを引上げる電磁コイルを具備するもの)が使用されました。
その経験を通して L・J・Steel 及び H・Martin 両氏が鉄板にスタッドを溶接する自動装置にまで発展させ、ある程度の成功を納めました。
一方、アメリカでは1939年(昭和14年)海軍工廠で、T・Nelson 氏により、鋼鉄丸棒やねじボルトを航空母艦のメタルデッキの上に木甲板をとめるためにスタッド溶接されたのが、いわゆるアークスタッド溶接法の最初であり、以来、グレゴリ-インダストリー社(現在のネルソン スタッドウェルディング社)によって開発研究が進められ、急速の進歩がなされました。
我が国では、昭和の初期より「サイクアーク溶接」という名称で、艦船内の電気配線、電気器具の取付のための黄銅スタッドを鉄板に取付けるのに盛んに使用されていました。
そして、第2次世界大戦後、アメリカのネルソンスタッドウェルディング社及びイギリスのクロンプトンパーキンソン社などの技術導入を経て、長足の進歩をとげ、今日、造船はもとより、建築・橋梁・自動車産業など、多方面の分野に使用されるようになりました。